メンタル疾患者や発達障害者に限らず、何かしらの理由によって社会人経験が全くない人もいます。このような人たちは一生社会に出られないということはなく、順序よく社会と関わっていくことで必ず社会復帰して働くことが可能です。
結論を先に伝えると
メンタル疾患者や発達障害者の中には、社会経験や就労経験がない人も珍しくはありません。その理由として入院生活を送っていた、社会からドロップアウトしてそのまま今に至ってしまった、社会に出る勇気やきっかけがなかったなど様々な理由があります。
そして多くの方がこのままではいけない、でもどうしたらいいのかわからない…と不安な日々を過ごしているのです。
しかし、社会人経験がない人やニートやスネップなどであっても、時間をかけることにより必ず社会復帰はできます。結論を先に言ってしまうと社会復帰までの理想的な流れというのが、地域活動支援センター(以下、地活)、就労継続支援B型事業所(以下、B型)、就労継続支援A型事業所(以下、A型)、就労移行支援事業所(以下、移行)の順です。
地域活動支援センター
いきなり週5日のフルタイム就職をするのは、たとえ就職できたとしても長続きの面では難しいと考えられます。まず、規則正しい健康的な生活と対人訓練やコミュニケーション訓練をする必要がありますので、好きな時に通うことができる地活から始めることが良く、生活が昼夜逆転している人は、この段階で生活リズムをきちんと整えておくことが大切です。
地活であっても、トラブルや困りごともありますが、その時には専門家であるスタッフが間に入ってくれて解決に向けての手助けをしてくれます。重要なのは、地活のスタッフだけではなく、先々のことも考えて就職に向けての支援機関を探すなどして支援者をつけておくことが必要です。
人間関係の訓練の場
そして、地活に通う理由にはもう一つ大きな理由があります。それは、移行の多くが利用者同士の連絡先の交換を禁止しており、実践的な人間関係の訓練をすることができないのです。なので、ある程度のゆるさがある地活にいる段階で、人間関係の訓練をするのです。
なぜ、人間関係の訓練が必要なのかと言いますと、仕事の退職理由の上位にあるのが、この人間関係です。人間関係というと上司との関係を思いつく人は多いかと思いますが、同僚などで仲良くなってプライベートでおつき合う人との人間関係でトラブルになることもありえます。
連絡先を交換したが、頻繁に連絡をされて迷惑をこうむることなどは、就職する前にどうやって対処するかを身につけたいところです。
就労継続支援事業所
次の進むべき道は、実際に仕事をする訓練的なB型の通所になりますが、生活リズムや体調が万全であるのならB型ではなくA型に進んでもよいでしょう。
B型の工賃と呼ばれる給料は、非常に低くこれだけでは生活は難しいですが、あくまで仕事の訓練と考えて通所することが望ましいです。通所する中で生活リズムが整い、メンタル面も安定するようになってきたら、A型に進んでみましょう。
A型はB型同様に福祉的作業所ですが、本格的な就労の場と考えて働くことが求められています。最近のA型は能力の高い利用者を受け入れる傾向があり、なかなか採用されないことがありますが、その際はここで足止めをくらって時間を無駄にするのももったいないので、短時間バイトをしても構いませんし、そのまま就職活動として移行に通所しても構いません。
就労移行支援事業所
自分一人で就活してもいいのですが、やはり社会経験が乏しいのであれば、移行に通所することです。専門スタッフの支援を得られることや、パソコン訓練や模擬面接などができるので、一人で就活するよりは就職に近づけます。
A型に通所したり雇用保険加入のアルバイトをした場合に、雇用保険加入期間によっては、ハローワークで失業保険の手続きをおこなって、多少なりの安定収入がある中で移行に通所する、または就活することをおすすめします。
一般的にはこの流れで進むのがよいかと考えていますが、どのように社会復帰するかは本人の能力によるところもあります。そして、支援機関や支援者から、自分がどのように就職までの道のりを進めば良いのかのアドバイスをもらうことも大切です。また、この順序が全ての人に当てはまることはなく、その人の生活やレベルによって変わってくることはありえます。
まとめ
- 社会人経験がなくても社会復帰はできます。
- 就職を視野に入れて、自分の担当支援員をつけておくことです。
- 個人の生活リズムや能力によって、順序が変わることもあります。